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名古屋地方裁判所 昭和62年(わ)80号 判決

本店所在地

名古屋市守山区大字守山字長池四〇番地

五大商事株式会社

右代表者代表取締役 吉田徳孝

本籍及び住居

愛知県春日井市藤山台八丁目一五番地の三

会社役員

吉田徳孝

昭和二三年四月一一日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官伊藤裕志出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人五大商事株式会社を罰金一〇〇〇万円に、被告人吉田徳孝を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人吉田徳孝に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人五大商事株式会社は、名古屋市守山区大字守山字長池四〇番地に本店を置き、医療器具及び寝具等の販売業を営む株式会社であり、被告人吉田徳孝は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括するものであるが、被告人吉田徳孝は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、取引先に対して支払う販売促進費の架空計上をするなどの方法により、所得の一部を秘匿した上

第一  昭和五七年七月一日から同五八年六月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が二二三〇万三八三円であり、これに対する法人税額が八一七万八六〇〇円であるのに、同五八年八月三〇日、名古屋市北区清水五丁目六番一六号所在の名古屋北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五八八万八三三六円であり、これに対する法人税額が一五三万九〇〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額との差額六六三万九六〇〇円の法人税を免れ

第二  同五八年七月一日から同五九年六月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が四九四七万七〇九五円であり、これに対する法人税額が二〇〇一万一〇〇〇円であるのに、同五九年八月二九日、前記名古屋北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二一四八万九五二二円であり、これに対する法人税額が七八九万二二〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一二一一万八八〇〇円の法人税を免れ

第三  同五九年七月一日から同六〇年六月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が七九五三万九五八六円であり、これに対する法人税額が三二八九万七一〇〇円であるのに、同六〇年八月二六日、前記名古屋北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二六一〇万三五〇〇円であり、これに対する法人税額が九七五万九三〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額との差額二三一三万七八〇〇円の法人税を免れ

もって、それぞれ不正の行為により法人税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人吉田徳孝の当公判廷における供述

一  同被告人の検察官に対する供述調書二通

一  同被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書八通

一  同被告人作成の上申書

一  内藤昭雄の検察官に対する供述調書

一  内藤昭雄(三通)、松井均、真崎今朝邦、濱本博信、永井静子、谷村美代江、真崎計、福和元良、青木菊江、板津智代、平野富男(三通)、内田信代、伊藤花枝及び水野美志夫の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料

一  大蔵事務官作成の査察官調査書八通

判示第一事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五七年七月一日から同五八年六月三〇日までの分)

一  大蔵事務官作成の証明書(昭和五八年八月三〇日被告人会社申告に係る分)

判示第二事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五八年七月一日から同五九年六月三〇日までの分)

一  大蔵事務官作成の証明書(昭和五九年八月二九日被告人会社申告に係る分)

判示第三事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五九年七月一日から同六〇年六月三〇日までの分)

一  大蔵事務官作成の証明書(昭和六〇年八月二六日被告人会社申告に係る分)

(法令の適用)

判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告人会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告人吉田徳孝については所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で罰金一〇〇〇万円に、被告人吉田徳孝については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内において懲役一年にそれぞれ処し、被告人吉田徳孝に対し同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 小島裕史)

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